いいものを、いい贈りかたで。三越伊勢丹のEC「ムードマーク」と佐賀県産品の挑戦
唐津くん煙工房
佐賀県が誇る逸品を、全国の人々へ。県産品の販路拡大等を支援する「さが県産品流通デザイン公社」は、三越伊勢丹と連携し、同社が運営するECサイト「ムードマーク」で、佐賀ならではの魅力あふれる商品をギフト市場へと届けます。技と革新的なアイデアが詰まった6事業者を厳選し、ムードマーク内に佐賀県特設サイトをオープン。なかでも、唯一無二の「トンネル熟成」を採用する「唐津くん煙工房」のサラミやハムは、ギフトとしての新たな可能性を秘めています。さらに、東京で行われた消費者向けの販売会「パスザバトンマーケット(PTBM)」にも出店し、消費者との直接の対話を実現。佐賀の逸品を全国へ広める挑戦が、今、始まります。
対談 参加者
青木 健二 氏
株式会社三越伊勢丹 ムードマーク バイヤー・マネージャー
雪竹 俊範 氏
唐津くん煙工房 代表取締役
山下 諒祐 氏
唐津くん煙工房 ベーカリー事業部部長
近野 顕次 氏
さが県産品流通デザイン公社 副所長
佐賀の逸品を全国へ、三越伊勢丹との連携
—今回の取り組みの経緯や内容を教えてください。
近野:私たち『さが県産品流通デザイン公社(以下、公社。)」は、県産品の販路拡大等を支援するため、2017年に設立されました。「売れるを、つくるのさ。」を理念とし、商品カ・営業カ・プランドカ向上のセミナー等を通し、事業者や生産者自らの「売れる力」をつくるための支援や、売り先の開拓・事業者とバイヤーのマッチング機会の創出等の「売れる仕組み」をつくる取組を実施しています。
青木:今回、その販売のチャンネルを増やすという意味で、私たち「MOO:DMARK by ISETAN(以下ムードマーク)』にお声がけいただいたんですよね。
近野:そうですね。三越伊勢丹のバイヤー・青木さんとは、去年初めてお会いしました。ムードマークがカジュアルギフトに特化していることに大きく惹かれましたね。また、ギフト向けに商品撮影をしたり、パッケージのデザインを変えていたりしていることを知り、「佐賀県産品でもチャレンジしたい!」と感じました
青木:私たちムードマークは、2019年にスタートした三越伊勢丹が運営するECサイトです。お歳暮やお中元という文化が薄れつつあるなか、誕生日やちょっとしたお礼などに、相手のことを想ってセレクトしたものを贈るパーソナルギフトが大きな注目を浴び、順調に売り上げを伸ばしているという背景があります。ムードマークもまさにそんなギフトシーンをターゲットにしています。また、相手の住所を知らなくてもギフトが贈れるソーシャルギフト機能も若い人たちに好評です。
近野:今回、ムードマークさんとの連携に際して、多くの県産品を青木さんへ提案しました。
青木:どの事業者も魅力にあふれていました。迷いに迷って、6事業者を選定したんです。私自身は、この機会で初めて佐賀県を訪れたのですが、佐賀県産品からは強いこだわりや作り手の熱い想いを感じました。この点が、ギフトとして人に贈りたくなるポジションをすでに確立しているな、と思いました。『唐津くん煙工房』さんも、まさにその1社です。

極上の味わいを届ける、唯一無二のトンネル熟成
—数々の受賞歴があリ、県内ではすでに高い知名度を誇る唐津くん煙工房さんですが、商品の特徴やこだわりを教えてください。
雪竹:唐津くん煙工房は、1996年に私が始めました。もともと地元の百貨店で働いていたのですが、今でも商品づくりには「本物を届けたい」という百貨店時代に培った想いが根付いています。そんな私たちの商品の大きな特徴のひとつが『トンネル熟成』です。日本で唯一の熟成方法でハムやサラミ、ソーセージをつくっています。この熟成に使っているのが、旧国鉄呼子線の鳩川トンネル。もともとは鉄道用のトンネルとして建設されたのですが、途中で鉄道事業自体が中止になってしまったんです。それを唐津市と九州大学が共同で研究し、熟成庫として活用する方法を開発しました。トンネルの中は、年間を通して温度と湿度が安定しているので、肉の熟成には最高の環境です。普通なら多くのエネルギーを使って管理するところを、ここでは少ないエネルギーで理想的な状態を保てる。だからこそ、環境にもお肉にも余計な負担をかけずにじっくりと時間をかけて熟成させることができるんです。その結果、肉本来のうま味が引き出され、香りも深みも増していきます。
山下:私は8年前に、結婚を機にこちらへ入社しました。その時にはすでにトンネル熟成の技術は確立されていました。試行錯誤の歴史を社長や昔から働くスタッフから何度も聞いています。日本で唯一の技術だからこそ、参考にするものも正解もない。この技術は、私たちの大きな特徴であり、誇りですよね。
青木:ギフトにおいてお肉は喜ばれやすいので、贈りやすいものなんです。しかし、精肉だったら銘柄というわかりやすいプランドがありますが、サラミやハムは伝え方が難しい。その一方で、唐津くん煙工房さんは「トンネル熟成」という興味をそそられる背景がある。最初にその製法を聞いた時、「これだ!」と思ったことを今でもはっきりと覚えています。
雪竹:素材選びにも徹底的にこだわっています。九州産の銘柄豚『和豚もちぶた」を中心に、合成添加物を使用しない製法で、自然な味わいを大切にしています。さらに、塩にはまろやかな風味が特徴のデボラ湖の塩を使用し、燻製には国産の山桜チップを採用しています。

ムードマーク内に佐賀県特設サイトが公開
—今日、公開のムードマーク内の佐賀特設サイトですが、どんな内容ですか?
青木:佐賀県内選りすぐりの6事業者の商品を掲載しています。それとともに、モノづくりへのこだわりや熱い想いも読むことができます。6つのうち、4つの事業者に関しては、実際に取材・撮影チームを引き連れて、私も足を運びました。それぞれのストーリーを知ることができた貴重な機会でしたね。ネットで検索してもなかなか知ることができない逸品に出会うことができたのも、公社さんと連携をとって良かったな、と思っていることのひとつです。すでに地元で知られているお土産品を、全国区のギフトにしていくのが、私たちのミッションだと思っています
雪竹:青木さんは、私たちにパッケージのデザイン変更も提案してくださいました。そこまで提案してくれたバイヤーさんには初めて会いましたね。
青木:そうですね。今、ECサイトの8割以上がスマートフォンから閲覧されています。しっかりとこだわりを聞けば買いたい、贈りたいと思える商品ばかりですが、スマホの画面で立ち止まるには、見た目で伝えることができるスピード感が大事なんです。
山下:バッケージはこれまでも、信頼できるデザイン事務所へ依頼しこだわってつくっていました。高級感や上質感を意識してつくっていましたが、青木さんから一番最初に提案いただいたものは、それとは真逆のかわいらしい、親しみやすいデザインだったんです。
青木:既存のパッケージも素敵なものでした。ですが、サラミやハム、お肉をみんなで囲んで笑顔で食べる瞬間の楽しさ、賑やかさなど商品から感じられる集いのシーンを表現したかったんですよね。
山下:このデザインをプリントしたTシャツをみんなで揃えたんです。PTBM(パスザバトンマーケット:企業やプランドの規格外品やデッドストックを集めた蚤の市)にも着て参加しました。そしたら、これが好評で。このデザインを目印に私たちのプースに来てくれる人たちもいたほどです。

直接会うことで再認識した商品の魅力と可能性
—PTBMに参加した感想や手応えを教えてください。
山下:今回、私たちは『バスザバトンマーケットVol.18 (PTBM)』に初めて出店しました。東京・品川の「THE CAMPUS」という会場で、全国から集まる多彩なプランドと一緒に、佐賀の魅力を発信する貴重な機会をいただきました。来場されたお客さまと直接お話ししながら、商品を手に取っていただき、生の反応を感じられたのがとても新鮮でした。
近野:全国から参加していた事業者のみなさんとの交流やリアルな消費者の会話も大きな学びになりました。ムードマークでのオンライン販売に先駆けて設けた場でしたが、リアルで会い、直接伝えることの大切さも改めて実感した2日間でした。
販路拡大へ、挑戦はスタートしたばかり
—ムードマークと佐賀県産品のコラポ、今後どのようなことに期待していますか?
青木:取材を通じて、佐賀の事業者のみなさんに直接お会いしましたが、どの方も個性が際立っていて、モノづくりに対する哲学を持っていると感じました。まるで研究者のように没頭し、より良いものを追求している。その姿を切り取り、全国に伝えていくのが私たちの役目です。理想は、「佐賀県産」という枠を超えて、全国で自然に売れる状態をつくること。この取り組みをきっかけに、地元の百貨店などにも販路が広がり、さらに認知度が高まることで、新たな販売先が増えていくことを期待しています。
雪竹:私たちの「トンネル熟成」という独自の製法を、もっと多くの方に知っていただきたいですね。そして、日常の中で気軽に楽しんでもらえるカジュアルなギフトととしても広めたい。贈り物としての価値を高めるのは、私たちの得意分野でもありますから。
近野:今回のムードマークでの取組を通じて、県産品を全国の方々にご購入いただく機会を増やしていきたいです。それに加えて、佐賀県のみなさまにもムードマークを使っていただき、県内外の友人や親戚などに、佐賀の逸品を気軽に贈れる場としても活用して欲しいですね。
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