「有明海」は長崎、佐賀、福岡、熊本の九州四県に囲まれた国内屈指の干潟。ムツゴロウを始め日本では希少な魚が数多く生息する海でもあり、海苔の養殖や貝類の漁獲が中心です。
「佐賀海苔®」は、生産量、販売額ともに18年連続日本一(令和4年[2022年]3月現在)」に輝いています。その秘密は、有明海という自然に恵まれた環境と、海苔づくりに関わる多くの人びとが一体となった取り組みにあります。情熱と工夫がもたらした 独自栽培技術で、うま味にあふれた口どけのよい、おいしい海苔がつくられているのです。
有明産のコハダは、江戸前寿司の伝統的なネタとして東京の高級寿司店などで重宝されています。築地市場では、全国1、2を争うほどの取扱量を誇ります。鮮度が命のコハダは佐賀から空輸され、シンコ(約5~8cm)、コハダ(8~10cm)、ナカズミ(11~15cm)、コノシロ(16cm以上)と大きさによって呼び名が変わります。寿司ネタとしての酢締めが一般的ですが、骨切りにすれば刺身や塩焼き、唐揚げといった様々なメニューで活躍。疲労回復に効果がある良質なタンパク質を豊富に含み、白身で旨みが強く、味わい深いのが特長です。
「シバエビ」は、有明海で最も多く漁獲されるエビ。東京湾から南シナ海まで広く分布し、各地の内湾の水深20m位までの泥質の海域に生息しています。特に投網により漁獲されるシバエビは、漁獲されてから氷に入れられるまでの時間が短いため、鮮度が非常に高いことで有名。頭と腹部の皮を取り、醤油を少し付けて食べるとほのかな甘みを感じます。また、天ぷらやかき揚げといった揚げ物にも最適です。
有明海を代表する冬の味覚といえば、太良町・竹崎で養殖されている「竹崎カキ」。豊穣の海と呼ばれる有明海では、餌になるプランクトンが豊富なためカキの成長が早く、約半年で商品サイズになります。また、身の水分が少な いため、焼いた際に水分の蒸発量が少なく、身が縮みにくいのも特長。さらに有明海は塩分濃度が低いため、甘味が強く濃厚な味に育ちます。冬の風物詩となっている「カキ小屋」は、ここ太良町が発祥の地域と言われており、有明海に面した国道には15軒ほどのカキ小屋が並び「太良カキ焼海道」と呼ばれています。
「竹崎カニ」は、佐賀県の最南部に位置する太良町(たらちょう)沖、有明海の竹崎地区を中心に水揚げされるガザミと呼ばれるワタリガニの一種。大きい個体だと25cm以上にも成長し、青みがかったオリーブ色の甲羅が特長です。全国各地で獲れるワタリガニの中でも、「竹崎カニ」は別格。初夏から秋にかけて水揚げされるオスガニは繊細な味で、甘い身とコクのあるカニミソが人気。また、冬から春にかけての卵を持った濃厚な身のメスガニも味わい深い食材として評判です。このように一年を通して、季節ごとの味わいを楽しめるのも竹崎カニの大きな魅力です。
「イイダコ」は、有明海・湾奥部で水揚げされる代表的なタコ。春の産卵前の雌の胴部(俗に言うタコの頭)には、長円形をした卵が隙間なく詰まっており、その大きさや形が米粒にそっくりなことから、飯蛸(いいだこ)という名前がつけられました。