SAGAPIN STORY

ただ、おいしくて安全なお米を
つくるために、家族の挑戦は続く。

光吉農産 [佐賀市川副町]

INTRODUCTION
有明海に面し、肥沃で広大な大地・佐賀平野が広がる佐賀県佐賀市川副町。ここで無農薬、減農薬の米づくりに精を出す光吉農産は、代表の光吉浩之さん、妻、長男夫婦、次男の5人で営む家族経営です。『実り咲かす』と名付けられたお米は、その名の通り、食べた人に笑顔の花を咲かせます。多くのファンをつくってきた米づくりの苦労と喜び、家族の絆。過去、現在、そして未来の希望を教えてもらいました。

支え合い、あうんの呼吸、家族経営の強み。

私は、光吉農産の代表を務めています。栽培するのは『さがびより』と『夢しずく』。この2品種を佐賀県の特別栽培農産物の基準に則って栽培しています。特別栽培米とは、田植え前から収穫までの間、農薬と化学肥料の使用を半分以下に抑えて栽培されたお米のこと。特別栽培米のなかにも農薬、化学肥料の使用量に応じてランクがありますが、光吉農産では農薬と化学肥料を一切使用しない無農薬のお米もつくっているんです。

無農薬栽培は手間もかかりますし、常に稲が病気にならないかなどの不安と隣合わせですが、食べた人の「無農薬のお米っておいしい!」「子どもに安心して食べさせられる」という声を聞くと大変でもつくり続けたいと思います。農薬を使えば農家は安心ですが、食べる人の安心ではないことに気づいたんですよね。お米には『実り咲かす』という商品名を付けて、お客さまに直接販売しています。食べた人の笑顔が咲きますように、という想いを込めて妻が名付けました。

そんな手間のかかる農業を可能にするのが、家族経営です。光吉農産は、私と妻、そして長男夫婦と次男の5人体制です。米づくりはみんなが携わりますが、それぞれに担当があり、長男が米づくり担当、妻は営業と販売、次男が妻の補佐と最近新たに挑戦している唐辛子の担当です。家族だからこそできる助け合いと、団結力、あうんの呼吸が私たちの強みです。

脱サラして農家へ。40歳の挑戦と地域への想い。

米どころとして知られる佐賀市川副町に生まれた私。実家は、明治時代から4代続く農家です。農業は主に母が行い、私は仕事をしながら、週末や就業後に手伝う兼業農家でした。やがて、母も体力的に無理がきかなくなった頃、「脱サラして専業農家になろう」と決意したのです。当時、田んぼの面積もそれほど多くなく、不安もいっぱいでしたが、専業農家になると聞きつけた地域の高齢になった農家さんたちが「もう米づくりはしきらんけん、まかせた」と、田んぼを預けてくれたのです。私自身、米どころの火を絶やしてはいけない、という想いもあったんだと思います。しっかりと受け継ぎました。そうして、面積は約3倍に。農業だけでも生活ができる見通しが立ったのでした。

専業農家になり、妻と二人三脚の挑戦がはじまりました。3倍になった面積ですが、求められる労力は単純計算の3倍ではありません。真夏の草ひきに気が抜けない水の管理など「妻は地獄だった」と振り返ります。しかし、それも笑い話。最初の苦労から5年ほどが経てば軌道にものり、2017年には長男が、2018年には次男が入社してくれました。さらに、収穫したお米を乾燥、精米、貯蔵できる設備を建設して、すべてを私たちの手でできるようになりました。無農薬栽培をスタートさせたのもこの頃。有機肥料も何種類も試したり、試行錯誤と苦労の末の今。だからこそ、収穫のときの喜びは何度経験してもとても嬉しいですね。

みんなと一緒ならできると信じている。

光吉農産のお米は、銀座のレストランで使用されるなど、多くの人に「おいしい」と言っていただいています。営業、販売は妻の担当ですが、妻は「私も田んぼに出て、一緒につくっているから胸を張って販売できる」と言います。毎年、毎年、みんなで心を込めてつくった自信作です。

ですが、より良い米づくりを目指し私たちは全国各地で開催されている米の食味コンク-ルに出品しています。昨年は、目指していた賞にあと一歩のところまで迫りました。次は受賞するぞ!と、燃えています。賞を獲得したいという想いは、私たちの米づくりに対するモチベーションのひとつになっているのです。勉強熱心な頼もしい子どもたち、いつも支えてくれる妻と一緒ならできると信じています。

また、息子たちと仕事をするようになって私のなかに芽生えた想いがあります。それは、少しでも良い状態で田んぼを息子たちの世代に渡したいということ。きっと、この土地にも先代が大切に守ってきた苦労があるはずです。だから、大変ではありますが土壌のことも考えて、農薬や化学肥料を極力抑えた栽培にはこれからも力を入れていきたいと考えています。

私たちの米づくりは、今日より明日、今年より来年、進化を続けています。だからぜひ、光吉農産のお米を味わってもらいたいですね。

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